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​MES(製造実行システム)の活用

はじめに

製造業のITシステム化を実施検討する際に長年運用してきた既存の生産管理システムを撤廃して、ERPなどの統合管理システム導入などで検討している企業をよく見かける。
ERPは、確かにグループ企業などの統合管理や拠点間の統合管理には有効である。
製造業の領域はどうなのかと言うと、特に生産領域では各社の管理方法が独自で有しており、特に日本の製造業の生産現場は長い経験の中から運営されていることが多い。
このようなことから、ERPが経営管理のドメイン、MESが製造実行ドメインと得意分野を分けて管理することにより、後々の拡張性や運用管理がしやすくなり全体最適化も出来る。
製造領域は奥が深く掘れば掘るほどいろいろな改善が必要になるので流動性も必要である。
このような事情からもERP一本で管理するより、管理する領域が違うことから各ドメインに分けたほうが管理や運用や拡張性が有利になり将来性があると言える。
※ドメインとは:範囲や領域のことで活動範囲や領域を表す

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​MES(製造実行システム)とは、

MES(Manufacturing Execution System︓ 製造実⾏システム)
製造工程の可視化や管理、作業者への指⽰や⽀援などを⾏う情報システム。
MESの特徴としては、⽣産ラインの各製造工程と連携することが可能でスケジュール管理や品質管理、データ収集のような11の機能を状況に応じて利用することが可能になる。


MESの11の主な機能

ANSI/ISA-95(IEC/ISO 62264)の規定
・ANSI(American National Standards Institute)、アメリカ規格協会
・ISA(the International Society of Automation)、自動機器に関する国際的な標 準化団体
・IEC(International Electrotechnical Commission)、国際電気標準会議
・ISO(International Organization for Standardization)、国際標準化機
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MES導入のデメリットと対策
IT業者と進めていく上で、社内にMES(製造実行システム)の知識を持った人が必要になる。
また社内での管理ポイントの設計などをあらかじめ実施しておいたほうが良い。
MESは生産に関する重要な領域であるため、自社内でまとまりがないとIT業者は何をすれば良いのか分からなくなる。
​これら防止には、ITコンサルタント(生産系)に依頼するか、事前に業務改善の準備を社内で実施しておいたほうが良い。
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まとめ

ERPは、経営統合管理システムなので、財務会計を中心とした管理システムなので、計画(中期・長期)や在庫の保管・移動などの資産管理や購買などには能力を発揮する。
ERPは、PKG(パッケージシステム)なので、前提としてどの業種にも基本が合うように設計されているので、カスタマイズや機能を追加する場合のアドオン開発を前提としている。
経験豊富なIT業者には、経験上から各業種や各領域ごとにテンプレートを持っている企業も中には有る。
では、製造業の領域はどうなのかと言うと、特に生産領域では各社の管理方法が独自で有り、長い経験の中から運営されている。このため、ERPのテンプレートを使っても対応範囲は最低限の運用が出来る程度で、既存の生産管理システムの改善にはつながらないといったケースは多くの企業で発生しているのは事実である。
ERPが経営管理のドメイン、MESが製造実行ドメインとそれぞれの得意とする領域に分けて運営管理し、必要部分だけをそれぞれで連携することにより、運用管理がしやすくなり、後々の拡張性も有利になると言える。
製造領域は奥が深く、掘れば掘るほどいろいろな改善が必要になるので、ERP一本化で一時的な運用管理するよりも、各ドメインに分けて構成したほうが将来性があるとも言える。
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