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製造業KPIマネジメントの本質
製造業KPIマネジメントの経営管理手法としての本質
①連鎖性の向上・・・マネジメント力向上への寄与が大きい
②見える化の進展
③共通言語づくり
KPIマネジメントでは、ある組織階層のプロセスKPIがその下位の組織階層の成果KPIになるという関係にある。
KPIを全社・事業・部といった階層に応じて設定すると、経営管理指標が組織内で合理的に連鎖するようになる。
これを連鎖性の向上機能である。
連鎖性の向上機能は、組織内のタテの階層だけでなく、部門間などのヨコの連携強化にもつなげることができ、組織の目標達成力や戦略遂行力の向上に寄与することが出来る。
管理職の責任体制の明確化
管理職は自らの目標達成(成果KPI)と目標達成の重要成功要因・重要活動の管理指標(プロセスKPI)を担うとともに、上位のKPIや横連携のKPIを理解する
横連携の強化
部門間の連携が必要なテーマの抽出と部門間連携の取組促進
製造業のKPIツリー(見える化)の作成の例
経営管理のKPIの情報伝達の最適化(経営層と管理者と現場の連携)
経営目標を達成するための情報が、一元管理されることでKPIの管理が
見える化できる。
社内で体系手的な管理をすることで、KPI管理を上手く運用することが出来るようにする。
PSIにおけるKPIの管理項目の例(部門間連携)
部門間を連携したKPIを実施する場合は、先の戦略マップが必須になる。
それぞれの部門と連携しないと、PSIのKPIは実施できない。
これらを実施する仕組み作り(システム)も必要になる。
製造業の経営管理でのKPIマネジメントの活用意義
KPIマネジメントを製造業の経営管理に用いる意義の最も大きなものは 「部門間連携で対処すべき課題」への対応 。
製造業では、部門間連携で対処すべき課題が多く発生する。
例えば、需要予測・生産計画を中心としたSCMの最適化、多品種少量化の顧客ニーズへの対応など。
タテの連鎖(例:販売目標の達成、製品のコストダウン)での目標達成のための取組にKPIを活用することも重要だが、それ以上に、部門間連携テーマに的確かつスピーディーに対応できるかどうかが経営上大切であるし、うまく対処できた場合の経営上の効果も大きなものになる。
部門間連携の取組みは、部門間の利害対立やトレードオフの関係にあるケースが多くなる。
そのため、取組みが放置されがちになり、「永年の課題」として取り残されてしまう。
そこで、部門間連携で対処すべき課題、各部門の目標の上位にある事業全体での課題に対して成果KPIを設定し、全社・部門間での共通の目標とする。そして、その共通目標に対しての重要成功要因や重点施策を検討し、各部門が達成すべきこと・実行すべきことを明確にしていくとよい。
製造業でよくみられるKPIの展開例
製品別・顧客別の採算性の改善(成果KPI:製品別利益率等)
1,製品別・顧客別の原価計算の仕組み作り(経理・経営管理)
2,標準原価の遵守・原価低減の取組(製造)
3,見積原価に応じた価格設定の見直し(営業)
多品種少量化と顧客ニーズへの対応のために、製造上の手間が増え、原価があがり、採算性が悪化しているケースがよくある。
全社での採算性の改善のためには、真実の原価を見える化する仕組みとともに、価格に反映していく必要がある。
つまり、原価低減の活動とともに、営業方針の見直しがあって初めて採算性の改善が実現される。
事業としての採算性改善目標を共有しながら、各部門の施策を連携させていく必要がある。
在庫水準の適正管理(成果KPI:在庫水準・在庫回転率等)
1,需要予測の精度向上・販売計画を遵守する終売対応(営業)
2,生産計画見直しの頻度向上・リードタイム短縮(生産管理・生産技術)
3,生産ラインの能率向上(製造)
適正な在庫水準を維持・向上させることは、製造業にとっての永遠のテーマだが、特に有効期限・品質確保への対応が求められる電子部品を扱う製造業では重要なテーマである。
上記の展開例にあるような各部門の取組を進めながら、在庫水準が適正に維持するための部門間連携での組織対応力を高めていくことが必要になる。
それがうまくいっているかどうかをKPIでモニタリングしていく。